法華経と前世療法と阿頼耶識  
     
ムヒカ前大統領に学ぶ


世界で一番貧しい大統領」と呼ばれた
     「ホセ・ムヒカ、前大統領」を通して、
             「
世界平和」を考える
    
       
        目  次
     5,彼から大切なモノを学ぶ
  9,真の世界平和を目指して

 
  
1、ムヒカ氏の半生
 今日、全世界を見渡すと、シリアの内戦から端を発して、ISテログループの勃興、溢れかえる難民の流出、それに伴うヨーロッパEUの崩壊、更には、アメリカのトランプ氏の出現による保護主義の台頭、アジアにおいては中国の覇権主義の横行などが、ますます世界を混乱に導き、人類が希求する世界平和への道は、霧の中に閉ざされつつある中で、心洗われるような方法、考え方によって、世界平和に向けて実際に実行されている特筆すべき人がいる。2016年4月に来日された、「世界で一番貧しい大統領」と呼ばれた男、「ホセ・ムヒカ、ウルグアイ前大統領」その人である。ここでその人の半生を学びながら、世界平和への道を改めて考えてみたいと思う。
 ホセ・ムヒカ氏は、1935年生まれ、現在80歳(平成28年)で、母国、ウルグアイは、南米のブラジルとアルゼンチンに挟まれた小さな国で、国土面積は日本の約半分、人口およそ330万人、氏は、その首都モンテビデオ郊外の貧しい家庭に生まれた。7歳の時に父を亡くし、極貧生活の中、何とか環境を改善しようと、また自分と貧しい人々を救いたいと、10代から政治活動を始め、60年代初期に当時の独裁政権に対抗するゲリラ組織に参加。富豪企業を襲撃しては、強奪物を貧民に配るといった義賊的な活動により、投獄されること4回、その間に6発の銃弾を受けて、瀕死の重傷を負ったが、奇跡的に命を長らえ、72年の最後の投獄期間は約13年間に及んだ。その後、釈放されてから94年に下院議員に選出され、農牧・水産相を経て、2010年に大統領に就任、13、14年にノーベル平和賞にノミネートされた。15年、任期満了で大統領を退任した。
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2、平成28年4月に来日
 2016年4月、日本のテレビ局(フジテレビ)に招待されて夫婦で来日、ムヒカ氏は6日、東京都内で一部メディアの取材に応じ、日本政府が憲法解釈を変更、他国を武力で守ることを可能にした安全保障関連法を制定したことについて「憲法の解釈を変えたのは、日本が先走って大きな過ちを犯していると思う」と批判した。
 また、ムヒカ氏は先立つ記者会見でも「いまだに人類は先史時代を生きている。戦争を放棄する時が来たら、初めてそこから脱却できる」と指摘。「私たちには戦争を終わらせる義務がある。それは世界の若者が完成させなければならない大義であり、可能なことだ」と訴えた。
 さらにムヒカ氏は、世界で使われている膨大な軍事費について「軍備の拡張は世界的に大きな問題であり、経済的な観点から見ても非常に深刻なことだ」と憂慮。格差解消や地球温暖化対策などに使うべきだとの考えを示した。
 また54年ぶりに国交を回復した米国とキューバによる交渉の裏で、オバマ米大統領のメッセージをキューバのラウル・カストロ国家評議会議長に託したエピソードを明かし、「私たちは平和に導くような解決策を模索しなければならない」と和解の大切さを訴えた。
 来日に際し、被爆地・広島を訪れることを自ら決めたというムヒカ氏は「広島には世界で起きた最も大きな悲劇の記録がある。人類がいかに残虐なことをできるのかが見えてくると思う。日本に来て広島を訪れないのは日本国民の皆さんに対して敬意に欠けるのではないか」とも述べた。
 また、フジテレビの生放送特別番組「来日緊急スペシャル、世界一貧しい大統領×宮根×池上彰で問う、日本人は、本当に幸せですか?」に京都から中継で生出演し、インタビュー等に答えた。その他、東京外国大学で学生等と意見交流などがあった。
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3、ムヒカ氏の思想
◆「世界で一番貧しい大統領」
 ムヒカ前大統領が「世界で一番貧しい大統領」と呼ばれるようになったきっかけは、大統領在任中の2012年にブラジルで開催された「国連持続可能な開発会議(リオ+20)」で行った演説だ。
 「貧乏とは少ししか持っていないことではなく、無限に多くを必要とし、もっともっとと欲しがることです」「今の地球の危機の原因は、環境の危機ではなく、政治の危機なのです」「乗り越えなければならないのは私たちの文明のモデルであり、見直すべきは私たちの生き方なのです」
 ムヒカ氏は居並ぶ各国首脳を前に、大量消費社会やグローバリズムを批判し、世界の注目を集めた。演説は、日本でも子ども向けの絵本にまとめられた。
 「質素な生活は自分のやりたいことをする時間が増える。それが自由だ」。6日、報道陣の前に姿を見せたムヒカ氏は青いシャツにデニム、ブルゾン姿。ノーネクタイは大統領任期中も含め貫徹している。公邸には住まず、自分の報酬の9割を慈善団体に寄付。(日本円で約100万円の月収のうち、9割を寄付し、残りの10万円で生活。さらにその中から農業学校に寄付するために貯金している)。現在も自宅で畑を耕しながら上院議員の妻と二人で暮らす。
 戦争やテロ、貧困や格差、気候変動や環境汚染など世界が抱えるさまざまな問題に関して、説くように持論を語ったムヒカ氏。「もはや一国で解決できる問題ではないが、世界全体での合意は存在しない。世界的な政治的決断が求められているにもかかわらず、私たちはそれを下せずにいる」
 何かを追い求め続けることに束縛され、本当の幸せとは何かを見失ってはいないか。ムヒカ氏は問い掛ける。「世界は多くの富を抱え、技術も進歩した。しかし、資本主義は盲目で、だれもそれをとめることはできない。それが資本主義の『美しき悲劇』だ。私たちは幸せに生きているのだろうか」(ウィキペディア・近藤晶著参照)

4、ムヒカ氏の幸せ、平和とは
 以上、簡単ですが、ムヒカ氏の活躍と思想について紹介したが、ここで改めて、世界平和への道について考えてみたいと思う。
 ムヒカ氏は、現在の世界の動きを次のように見ていている。今日の世界は、近代史を見てみると、とくにイギリスの産業革命から急速に世界は、近代化と発展し、資本主義・社会主義が形成されて、あらゆるものが大量に生産されて、全世界に流布されるようになった。また、庶民は大量消費生活となっていった。高度成長に伴う、発展に次ぐ発展と目まぐるしく変化していき、しかし、その結果、多くの物や資源が際限無く使用されて、地球規模であらゆるものが枯渇された状況となり、環境破壊も進み、また、消費されて出たたくさんのゴミが山積みとなり、処分できない状況ともなっていった。
 このような時代となり、果たして人類の幸せとか、平和は一体どのようなものとなるであろうか、人類の求めていた真の幸せ、平和とは、何であったのか、との問いが自然とわき上がってきた。
ムヒカ氏は、ゲリラ活動や10数年に及ぶ過酷な投獄・監禁生活から多くの事を身をもって学び、そこから次のような言葉が語られた

 ☆辛い独房生活で本を読みながら「人間とは、何なのか、何度も自分に問いかけた」。
 
★暴力で世の中は変えられない。
 
☆武力ではなく別の方法で戦い続ける。
 ★私はたとえ私たちにひどい仕打ちをした人々でも憎もうと思わない。
 
☆憎しみは何も生まれないから。私は、あの獄中生活の中で学んだ。
 
★人は、わずかなものしか持っていなくても幸せになれることを。
 
☆人間はひとりでは生きられない、おかしな生き物だ。
 ★我々は発展するためにこの地球上にやってきたのではありません。幸せになるためにやってきたのです。
 
☆富が幸福をもたらすと思わないでください。
 ★貧しい人とは少ししかものを持っていない人ではなく、もっともっとといくらあっても満足しない人のことだ。
 
☆私は、貧乏ではない、質素なだけです。
 ★比較的豊かになると失うことへの恐怖が生まれます。
 
☆幸せとは人生を愛し憎まないこと。毎日太陽が昇るのを見て感謝する。
 ★情熱を傾ける何かが必要なのです。
 
☆でもそのためには大義が必要です。
 ★経済は、なぜ存在するのでしょうか。それは不足しているものがあるからです。
 
☆経済というのは、不足している財をいかに分配するのかということ。
 ★国民のため家族のため、ウルグアイという国を変えたいという想い。
 
☆個人も家族も一人では、生きていけません。
 ★もしドイツ人がひと家族ごとに持っているほどの車をインド人もまた持つとしたら、この地球はどうなってしまうのでしょうか。私たちが呼吸出来る酸素は残されているのでしょうか。
 
☆先進国と同じレベルの生活をする、そんなことが一体できるのか。
 ★スーパーマーケットに行けば色々なものを買うことができる。しかし、人生の「歳月」を買うことはできない。
 
☆人々は、モノを買い集めていく「儀式」に人生の時間を費やしている
 ★世界を変えられるわけではないが、あなた自身は変わることができる。
 
☆打ち負かされても、もう一度やり直す勇気を持つことです
 ★最も重要なのは「歩み続ける」ことです。それは何度転んでも起き上がることです。
 
☆問題は、何のために時間を使うかということです。人生は、一度きりで瞬く間に過ぎていきます。
 ★一人一人が自分に問いかけるべきなのです。
 
☆なぜなら生きていることは死にむかうことだから。
 ★これは変えようのない事実であり、私は、真新しいことは何一つ言っていません。
 
☆人間の文化を変えないと何も変わらないことに気づいた。
 ★人生は、時計のようなものです。 ゼンマイは、やがて止まります。


 以上、ムヒカ氏が語られた事を要約し、改めて、幸せとは、平和とは、を考える時、人類は、発展に次ぐ発展で、すでに世の中はあらゆる面で機械化されて、すでに飽和状態にある。環境が破壊され汚染された状態で、これ以上の発展が果たして可能であろうか、それ以上に求めて、果たして人類の幸せが得られるものでだろうか。人類の幸せはもっと他にあるはずである。 それは、もっともっとと求める心でなく、この限りある人生を愛し、自然に感謝し、人々の為に生きること(大義に生きること)。全世界の人々がこのような生き方になった時、真の平和、幸せが訪れる、と。特に次代を担う若い人々にこの事をお伝えしたい……と語られている。
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5、彼から大切なモノを学ぶ
以上、「世界で一番貧しい大統領」と呼ばれた「ホセ・ムヒカ、前ウルグアイ大統領」について、それなりに説明してきたが、何故、彼が多くの国々で、これほど大きく、その存在を取り上げられてきたか?……それは、題名が示すがごとく、「世界で一番貧しい大統領」と言われるように、まず自分自身が身を以て実行していることが圧倒的に素晴らしい事であり、国民に対して最高の説得力となっている。「言うは易し行うは難し」で、得てして、政治家は、しゃべる職業として、美辞麗句は幾らでも言えるが、自分の身を処して、清く正しく生活している人がどれだけいるだろうか。彼は、10数年に及ぶ過酷な投獄・監禁生活の実体験から身を以て感じた事、人間にとって生きるうえで何が最も大切なことであるのか?をはっきりと理解された事で、そこから発する言葉と行動は真実そのものとなっている。それが今多くの人々から感心を持って迎えられていて、そこから私たちは、大切なモノを学ぶ事が出来る。
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6、モノゴトには、すべて2面性がある
 今、改めて、現実社会に眼を転ずると、喫緊の問題として、外にあっては、日本の周辺で起こっている北朝鮮の核兵器問題、中国の覇権問題、アメリカ、トランプ大統領出現による防衛問題や貿易摩擦問題、さらにはシリア内戦、ISによるテロ、中東諸国問題、ヨーロッパではユーロの崩壊が迫りつつある。内にあっては、豊洲移転問題、待機児童問題、また、アベノミクスの挫折化が政権を揺るがそうとしている。また一般大衆においては、爛熟頽廃した環境の中で精神の荒廃化が進み、生命の尊厳を顧みない、異常な犯罪事件がとても目立つようになってきた。
 いずれの問題も解決するには、その方策を充分に検討しなければならないが、また、先立つものとして、多額の資金が必要となる。それらの資金が無駄に使われないようにしなければならない。東京オリンピックの費用問題でも、小池都知事が言われるように、豆腐でもあるまいし、平気で「一チョウ、二チョウ、」とこともなげに言われているが、それらは、都民の血税である。まさしく、その通りであって、そんな金があったら、東日本大震災復興や福島原発問題に使われるべきでないかと思われる。また待機児童問題へ回すべきであろう。
 人間として如何に生きるべきか、そういう観点から、物事を観ていかないと、ムヒカ氏の言われるように、物事の本質を見失って、ただ目先の事に心が奪われて、それに金をつぎ込んだりする結果となる。
 物事には、すべて二面性があり、たとえば、とても良く切れる刃物がある。これを料理に使えば、とてもやりやすくなるが、これを凶器に使えば、大変恐ろしいことになる。銃にしても悪人が持てば殺人凶器となるが、警察が持てば人々を守る武器となる。今新しい問題として遺伝子操作があるが、これを正しく使えば、死にそうな人も助かるが、これを悪用すれば、世にも恐ろしい人間が出現するかも知れない。また、核兵器もこれを守る兵器として保持すれば、世界平和が保たれるかも知れないが、これを攻撃する武器に使用すれば、世界破滅につながる。要は、それを扱う人間の心のあり方が一番大事であって、善にも悪にも変化するということだが、その意味は、だれもが分かっていても、どうしても、人間の浅ましさで、諸々の煩悩によって正しい判断が狂ってしまう。(仏教では、人間の持っている欲望などを詳しく分析している。参考までに下記の記述した。)
 煩悩には「6つの根本煩悩」があり、その6つとは、貪(むさぼり)・瞋(いきどおり)・癡(おろかさ)・慢(たかぶり)・疑(うたがい)・悪見(あやまった見方)であり、それに伴って「20の随煩悩」がある。その20とは、忿(いかり)・恨(うらみ)・覆(ごまかし)・悩(なやませる)・嫉(ねたみ)・慳(ものおしみ)・誑(だます)・諂(へつらい)・害(傷つける)・驕(おごり)・無慚(内的無反省)・無愧(対他的無反省)・掉挙(のぼせ)・惛沈(おちこみ)・不信(まごころない)・懈怠(おこたり)・放逸(いいかげん)・失念(ものわすれ)・散乱(気が散る)・不正知(正しい事を知らない)、更にその奥の末那識(マナシキ・七識)には、「4つの根本煩悩」我癡・我見・我慢・我愛があると言われている。
これらの煩悩が人間の思考・行動を誤ったものにしている。その結果、悲惨な出来事や不幸な生活が営まれることになる。
 改めて述べると、この宇宙に存在するすべての物事には、必ず2面性があるということ。プラスとマイナス、何かを得れば、何かを失う。何かを失えば、何かを得る。という一大真理の法則だ。この法則は、日常生活において、身の回りの小さな出来事から、地球的規模で起きているあらゆる現象など、すべてに当てはまる。昔から早起きは三文の徳なども、朝早く起きるのは辛いモノ、もっと寝ていたい事を戒めている。辛いけど早く起きれば、それなりに又善い事もある。人に良いことをすれば、その喜びが自分に返って来る。新幹線で早く目的に着くことが良いことだが、その反面、色々な面で失うこともある。早く目的地に着けば、それなりに又色々の事をするはめになる。旅の風情も無くなるなど、プラス、マイナスは、必ずあるもの。結婚だって、皆夢見るモノだし、自然の生業で、他から見ればうらやましいことだが、「結婚は、人生の墓場だ」と言った人があるくらいで、独り身でいれば自由気ままな生活ができるが、結婚すれば、家族に縛れらるなど。自然環境も便利になればなるほど、環境が破壊されていく事も事実だ。楽を求めれば、後で苦を生じることになる。このようにすべてには、2面性がある事をしっかりと意識していることが大切だ。片方だけに眼が行っていると、後で後悔する。仏陀(釈尊)は、仏道の中で「中道」を教えていて、ここに悟りの世界があると。
 現代生活において最も顕著なものは、情報革命と言われるように、全世界に通信ネットが凄い勢いで網羅されて来て、パソコン、携帯、スマホなどによって、あらゆる場所から、あらゆる情報が得られ、まるで大洪水のように流れている。この情報機器と内容によって、善い事にも、悪い事にも、どんどん使われるようになり、人間の精神がついて行けない状態になりつつある。まるで多くの老若男女がこの大洪水に飲み込まれて流されていくようだ。まさしく人々は、激動の世界に投げ込まれた状態だ。そこからは、精神的におかしくなった者たちがいたる所で発生し、異常な犯罪となって現れている。そのようなニュースが日常的にテレビ等で流されている。経済的には豊かになった日本社会、そこから発生する精神的な異常犯罪。
 世界に眼を転ずれば、テロによる極悪の犯罪がテロたちに依って、ネットから犯行声明として世界に発信されている。これも情報革命の恩恵か?
 このように世界は、政治的、経済的、社会的、人間的に大きく変動している今日、改めて世界平和、人類の幸福を考えた時、何をなすべきか、何を優先とすべきか、その基本的理念は何か、など、大局的見地から、よくよく見極めなければならない。
 そこで、すでに「世界平和考」で述べさせていただいたところを改めて記載する。

7、世界平和は真の宗教から
 さて、ここ世界平和考では、「平和についての考え方」から始まり、「世界平和への模索」の中で、各種平和団体などが、平和に向けての、いろいろな取り組みを行っていることを紹介したが、これらの活動は、主に政治形態や制度の変更をもって世界平和を築いていく方法であり、すなわち、人間の内面的変革より外部的変革ということで、例えば、共産主義を資本主義にする。福祉社会国家にする。帝国主義を無くする。あるいは、それらを統一して世界政府を設けるなどといったことなど。たしかにこれら制度の変革、より良いシステムの構築などによって、住みよい環境となり、平和や幸福感が得られることも事実であろう。しかしながら、人の内面的な部分の変革なくして真の世界平和、人類の幸福は無いことも事実であり、これらを強調しているのが宗教の世界だ。
 先に述べたように「戦争の起こる原因」の中で、その原因を述べたが、それらを解消するには、お互いに自己主張していては、解決出来ないばかりか、再度、戦争を起こすことになるわけで、それには、お互いに相手の事情や譲る精神が必要で、さらには、仏教で説くところの貪欲の心を消滅させていくことが最も重要な要件となっている。個々の心身の調和の取れた自己の確立こそが、真の世界平和、人類の幸福の達成となるのであり、仏教に基づくところの叡智・慈悲・真理によって、それらを獲得することが出来る。それ故、ことさらに仏教による世界平和、それも真理を完全に説き明かしたところの法華経によって、真に可能となる。法華経を研鑽していくとその事が良く分かる。(法華経については、ホームページ「法華経と前世療法と阿頼耶識」を参照して下さい)
 これは一見遠回りしているように思えるが、確実な方法だ。法華経の法師功徳品第十九の中に有名な文句「若し俗間の経書・治世の語言・資生の業等を説かんも、皆正法に順ぜん。」があるが、この意味は、法華経精神を体得した者は、一般世間の倫理・哲学、政治・経済・法律、農業・工業・商業などを説明・指導するにあたっても、仏の意に適った正しいものになるということである。それは、法華経さえやっていれば、俗世間のことはどうでも良いというのではなく、法華経の精神をもって、すべてのことに当たれば、良い結果となるということであり、世の中のあらゆる問題を解決するには、法華経精神をものごとの中心にもってくることにより、すべてが円満に運ぶということである。いろいろな平和活動でも、その中心となるべき魂(心)のあり方が肝心で、もし、邪な心で行えば、たとえ平和活動といえども、それは誤った方向へと進み、良くない結果となることもあり、正しい心の持ち方を教えているのが法華経と言える。

8、現在の世界情勢
 今、述べたことを考慮して、現在の世界情勢を見てみよう。現状は、従来の資本主義・共産主義といった米ソの関係は、消滅しつつあり、それに代わって中国を舞台にした経済関係が世界を巻き込んだ大きなうねりとなり、それに伴う諸問題が何時噴出するか、また、それに宗教・思想が絡まって、イスラム国家群によるアメリカを代表とする退廃文明社会への挑戦などがテロとなって熾烈さを極めている。このような状況では、まだまだ世界平和は遠いと言わざるをえない。これらは人間が生み出す名誉欲・金銭欲・権力欲・支配欲・独占欲などの諸々の欲によって、生み出されている世界とも言える。これらを消滅していかない限り、真の世界平和は訪れないであろう。環境や境遇が悪いから自分も悪くなると、環境や境遇の性にすることも一つの事実であれば、その環境や境遇を作っているのは、自分であるということも事実なのだ。自分の内外共に調和の取れた世界こそが理想の世界と言える。これを仏教では物心一如と言い、人間自身は、色心一如(身心一如)とも言う。

9、真の世界平和を目指して
 このような世界情勢を考えてみると、先述「世界平和への模索」の中で述べたように、世界連邦(世界政府)の樹立、国際連合、ユネスコ憲章、その他の平和活動などが真の世界平和への道となるだろうか。とりあえず、世界のいたる所で武力が行使されない状態が続くことが一段階の平和と言えるが。先述のように現代は、戦争以外に人類の脅威となるものに、環境汚染、災害、疾病、気候変動などが地球規模で襲って来ている。これらも人類の大脅威であり、これらを解消しなくては、真の世界平和、人類の幸福は無いと言える。これらを全体的に解決していくには、個々の問題に対して、それぞれ対応していけばすむのかどうか。これら多くの問題には、根底に共通原因がある。共通原因とは先の述べたように人間が生み出す名誉欲・金銭欲・権力欲・支配欲・独占欲などの諸々の貪欲が元となって悪環境を作っている。それ故、筆者が強調することは、根底からか解決させるには、釈尊が予言するところの法華経によって、生きとし生けるものの魂を浄化救済していってこそ、真の平安がもたらされるということである。        合掌



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